心的外傷後成長とは?「鬼滅の刃」竈門炭治郎の心理を例にわかりやすく解説

鬼滅の刃

こんにちは!ばちといいます。

心理学とマンガが好きな僕が「鬼滅の刃」を例に、心理学をわかりやすく解説するシリーズ第5弾!

今回は、炭治郎の成長を例に、「心的外傷後成長」について解説します。

  • 「心的外傷後成長」について、わかりやすく学びたい!
  • 炭治郎は、家族を失ったのに、どうしてあんなに強くいられるんだろう?
  • トラウマを克服するヒントがほしい…

といった方へ向けて

  1. 心的外傷後成長とはなにか?
  2. 炭治郎のトラウマと、心的外傷後成長
  3. トラウマを力に変える第一歩

について解説します。

※この先ネタバレを含みますので、ご注意ください。

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【定義】心的外傷後成長(PTG)とは?

心的外傷後成長(Posttraumatic Growth)は

人生における危機的な出来事やトラウマティックな出来事との精神的なもがき・闘いの結果としてもたらされる、ポジティブな心理的変容の体験

「東日本大震災後の子どもの心的外傷後成長と,法事参加・メディア視聴への態度との関連」精神神経学雑誌第119巻第11号819〜826P

と定義されます。
少しイメージしにくいので、わかりやすくいうと、

トラウマを経験し、それを乗り越えたことで、ポジティブな変化が生じる

ということ。

変化する3つの領域

エルサレム・ヘブライ大学名誉教授のアミア・リーブリッヒ氏によると、その変化は、主に3つの領域におよぶとのこと。

①自己における変化の理解
②人間関係における変化の理解
③人生哲学の変化

心的外傷後成長(PTG)におけるナラティブ・アプローチ 苦痛体験学(Suffering Experience Research)に向けて

自己における変化の理解

トラウマを経験したことで、自分のポジティブな面に気づけるようになります。

たとえば、過去の研究では、

  • 自信や勇気を持てる(アメリカ軍の兵士を対象にした研究)
  • 創造性がアップ(ルワンダ虐殺の経験者を対象)
  • 命のありがたみを実感(心臓発作の経験者を対象)

などの変化が確認されています。

人間関係における変化の理解

また、人間関係への向き合い方が変わります。
過去の研究で、

  • 家族や、周りの人との絆を大切に
  • 感情表現が豊かに
  • 積極的にサポートするように

などの変化が確認されています。

人生哲学の変化

そして、人生の捉え方も変わります。
さまざまな研究で

  • 人生には価値がある、と思うようになった
  • 人生の優先順位が変わった
  • 健康に気をつけるようになった(HIV患者を対象)

などの変化が確認されています。

炭治郎の心理と、心的外傷後成長

ここからは、より「心的外傷後成長」のイメージをつかむため、炭治郎を例に深堀りしていきます。

炭治郎は、家族を鬼に惨殺されました。
妹の禰豆子は、なんとか生き残りましたが、鬼になってしまいました。
この経験は、炭治郎にとって、まさにトラウマにあたるでしょう。

本来であれば、心に深いダメージを受け、前に進めなくなってもおかしくありません。
しかし、炭治郎はその経験を、力に変えています。

彼はなぜ、それほど強いのでしょうか?

炭治郎の変化その①創造力アップ

炭治郎は、家族を殺された直後、冨岡との戦いで高い創造性を発揮しています。
柱である冨岡も

木の陰に隠れる直前 こちらに石を投げ 木の陰へ隠れた時 上へ斧を投げた

丸腰であるのを悟られないよう 振りかぶった体勢で手元を隠す

「鬼滅の刃」1巻1話より引用

と、驚いているようでした。

ポジティブな変化にも

他にも、はじめて鬼を倒したとき

鍛錬は無駄じゃなかった
ちゃんと身についた

「鬼滅の刃」1巻6話より引用

と発言しており、自分の強みに目が向いていることがわかります。

炭治郎の変化その②優しさ

炭治郎は、村の住人からも慕われていたので、もともと思いやりがあり、心の優しい性格だったことがわかります。

しかし、その後も

  • 鬼に対して優しさを見せる
  • 最終選別で、手鬼に襲われていた少年を助ける

など、より優しさが深くなっているとも捉えられます。

炭治郎の変化その③鬼殺隊としての人生

炭治郎は、炭を売る生活を

生活は楽じゃないけど幸せだな

「鬼滅の刃」1巻1話より引用

と、とらえています。

また、無限列車において、魘夢の夢で、

ここに居たいなぁ ずっと振り返って戻りたいなぁ
本当ならずっとこうして暮らせていたはずなんだ ここで

(中略)

本当なら俺は今日もここで炭を焼いていた
刀なんて触ることもなかった

「鬼滅の刃」7巻57話より引用

と回想していますね。

つまり、みんなで平和に暮らすことが、炭治郎の望みです。

しかし、家族を失ったことで、状況は変わります。
目的は、「鬼舞辻無惨を倒し、禰豆子を人間に戻す」に。
そうして、鬼殺隊としての道を歩みはじめます。

トラウマを力に変え、新たな目的に向かって進む、炭治郎の強さがわかります。

炭治郎に学ぶ!トラウマを克服する第一歩

炭治郎がトラウマを克服できたのは、禰豆子に向けた日記のおかげでもあるのでしょう。
苦しい状況でも、良い面に目を向けることで、ストレスに対する対処法が変わるからです。

これは、心理学において、ベネフィットファインディングと呼ばれるもので、スタンフォード大学の健康心理学者、ケリー・マクゴニガル氏は、

「ベネフィットファインディング」(逆境のなかにも、よい点や得るものがあると考えること)は、

(中略)

うつ病や心臓病のリスク低下、免疫機能の強化、結婚生活に対する満足度の向上など、さまざまな効果につながる

「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」p325より引用

とおっしゃっています。

炭治郎は、日記の中で、成長を記録しています。
そうすることで、ポジティブな変化に気づけます。

これはまさにベネフィットファインディング。
炭治郎は、科学的にも正しい方法で、トラウマを克服したんです。

ベネフィットファインディングの注意点

ベネフィットファインディングには、注意点があります。
それは、

  • 無理やりネガティブな感情をおさえよう
  • 自分の経験は大したことではない

と思わないこと。

ツラいという感情を否定してはいけません。

ネガティブな感情を抑えようとして、逆にツラさが増すことも。

ゆっくり前に進もう

なのでまずは、自主的にストレスに対処していくこと。
ゆっくりで構わないので、その過程で、自分のいい面を実感しましょう。

とはいえ、トラウマ自体はネガティブであることに変わりません。
実際に、トラウマを経験されている方であれば、そう簡単に気持ちを切り替えられるものではないでしょう。

しかし、この記事で紹介したように、トラウマには、ネガティブな側面だけではなく、ポジティブな効果もあります。
「心的外傷後成長」という概念を知り、すこしでも気持ちが楽になれば幸いです。

それではまた、別の記事でお会いしましょう!

「鬼滅の刃で学ぶ心理学」シリーズはこちらからどうぞ!

参考文献

  • 「鬼滅の刃」,吾峠呼世晴,集英社
  • 「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」,ケリー・マクゴニガル,だいわ文庫,p312~333
  • 「超発想力」,メンタリストDaiGo,詩想社,p240~244

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