こんにちは!ばちといいます。
心理学とマンガが好きな僕が「鬼滅の刃」を例に、心理学をわかりやすく解説するシリーズ第4弾!
今回は、「鬼滅の刃1巻」にでてくる心理学を7つ、まとめて解説します!
- 心理学について、わかりやすく学びたい!
- 炭治郎たちの心理について知りたい!
- それが物語にどうかかわっているの?
といった方におすすめの内容です。
※この先ネタバレを含みますので、ご注意ください。
その①:指示的セルフトーク

セルフトークとは、いわゆるひとりごとのこと。
ひとりごとをいいながら作業したり、頭の中で考える方もいらっしゃるでしょう。
運動のパフォーマンス高める
実は、このセルフトークが運動のパフォーマンスをあげる、という研究(#1)があります。
テッサリア大学によるメタ分析で、32本の論文から、2種類のセルフトークのちがいを調べました。
- 指示的セルフトーク=「体をこう動かそう」など、自分に指示をするようなひとりごと
- 動機づけセルフトーク=「がんばれ俺!」など、自分のテンションを上げるようなひとりごと
その結果、指示的セルフトークのほうが効果は高く(効果量=0.43)
- 注意力アップ
- 集中力アップ
- プレッシャーに強くなる
などのメリットが確認されました。
竈門炭治郎(かまどたんじろう)のセルフトーク術
炭治郎は、うまくセルフトークを利用しています。たとえば
1.禰豆子(ねずこ)を背負い、町医者のもとへ向かう途中
前に進め
「鬼滅の刃」1巻1話より引用
もっと速く足を動かせ
2.狭霧山(さぎりやま)での修行中
呼吸を整えて罠の匂いを嗅ぎ分けろ
「鬼滅の刃」1巻3話より引用
これらは指示的セルフトーク。
3.岩を斬る修行中
頑張れ俺‼︎頑張れ‼︎!
「鬼滅の刃」1巻4話より引用
は動機づけセルフトーク、というようにしっかりと使い分けています。
- 戦いのとき→指示的セルフトークで、動きに集中
- 修行にくじけそうになったとき→動機づけセルフトークで、己を鼓舞
炭治郎はよくひとりごとをいいますが、科学的にも正しい方法だったんですね。
その②:返報性の原理

返報性の原理とは、
なにかをされると、自分もお返ししなくては…‼︎という気持ちになる心理的特徴のこと。
バレンタインデーなど、お返しはいりませんよ、といわれても、なんかモヤモヤしますよね。
炭治郎のトーク術
炭治郎が、返報性の原理を用いて、頼みごとをしているシーンがあります。
竹雄
できる範囲で構わないから
「鬼滅の刃」1巻1話より引用
少し木を切っといてくれ
これのどこがお返しなの?と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
実は、これも返報性の原理の1種です。
【悪用厳禁】譲歩でも効果あり
「できる範囲で構わない」これは、譲歩していますよね。
譲歩されると、返報性の原理がはたらき、
次は自分もなにかしなきゃ!
という気持ちになります。
おそらく炭治郎は、竹雄に対する思いやりでこう発言しているのでしょう。
ですが、譲歩には、今度は自分の番だ!と思わせる効果があります。
とても強力な効果なので、悪用はしないようにしてください!笑
その③:理由+頼みごと

社会心理学の名著「影響力の武器」によると、理由をつけると、頼みごとが成功する確率があがるんだとか。
承諾率1.5倍!?
ある実験で、コピーをしている人に対し、先にコピーさせてもらえないかを、2パターンに分けてお願いしました。
- パターン①:「5枚だけ、先にコピーさせてください」とシンプルにお願い
- パターン②:「5枚だけ、先にコピーさせてください、急いでいるので」と理由をつけてお願い
なんとその結果
- ①の60%しか譲られなかったのに対し
- ②の94%が譲られたそう
理由をつけるだけ、というとてもシンプルな方法にもかかわらず、すさまじい効果があるんです。
炭治郎のお願い術
炭治郎は冨岡に対し、こう発言しています。
家族を殺した奴も見つけ出すから
俺が全部ちゃんとするから(中略)
どうか妹を殺さないでください…
お願いします…(後略)
「鬼滅の刃」1巻1話より引用
この発言を分析してみると
- 俺が見つけだすから(理由)
- 妹を殺さないで(頼みごと)
と、みごとに「理由+頼みごと」の構成を使っています。
ただし、冨岡の心境の変化は、描写からはわかりません。
しかし、結果的に
- 禰豆子を殺さない
- 鱗滝(うろこだき)さんまで紹介
など、炭治郎のサポートをしてくれました。
それだけが理由ではないにせよ、この頼み方が一役買っていることは、まちがいないでしょう。
その④:怒り

感情は、人類が生存するために身に付けたしくみの1つです。
意外かもしれませんが、ネガティブなイメージの強い怒りにも、メリットがあります。
それは、行動力を高めてくれること。
怒りの感情をうまく使えば、目標に向けて、チャレンジできるんです。
冨岡義勇(とみおかぎゆう)の叱咤激励術
冨岡は、炭治郎に対し、こう思っています。
怒れ
許せないという強く純粋な怒りは
「鬼滅の刃」1巻1話より引用
手足を動かすための揺るぎない原動力になる
家族を失い、悲しみにくれている炭治郎に対し、厳しい言葉をあびせているのだけをみると、いやなやつにみえてしまいますよね。
ですが、冨岡の本当のねらいは、
炭治郎の怒りを引きだし、鬼殺隊として修行をはじめるための原動力をあたえること。
炭治郎が、鬼殺隊としてブレずに活動できているのは、冨岡が引きだしてくれた怒りが根底にあるのでしょう。
その⑤:一貫性の原理

一貫性の原理とは
自分の考え方や行動などを一貫させたい、と思う心理のこと。
鱗滝左近次(うろこだきさこんじ)の修行
鱗滝さんは、はじめて炭治郎を見たとき、
ああ この子は駄目だ
思いやりが強すぎて決断できない鬼を前にしても優しさの匂いが消えない
鬼にすら同情心を持っている義勇 この子には無理だ
「鬼滅の刃」1巻3話より引用
と思っていますね。
しかし、最終的に最後まで修行をつけてくれました。
なぜでしょうか?
それは、冨岡の頼みで、一度修行を引きうけたため、一貫性の原理がはたらき、途中でやめることに抵抗を感じたことが原因です。
その⑥:単純接触効果

また、修行の過程で、単純接触効果もはたらいています。
単純接触効果とは、
たくさん目にしたものや情報ほど、好きになってしまう、という心理効果のこと。
鱗滝さんの見送り
上記のとおり、初めてあったときの鱗滝さんの、炭治郎に対する好感度は低いことがわかります。
しかし、修行をおえた炭治郎に対し、こんなことをいっています。
よく頑張った
炭治郎 お前は凄い子だ…”最終選別”必ず生きて戻れ
「鬼滅の刃」1巻6話より引用
儂も妹も此処で待っている
こういって、炭治郎を抱きしめている描写がありますね。
これは、約2年間、毎日ともに過ごすうちに、単純接触効果がはたらき、炭治郎のことをどんどん好きになった証拠です。
✔︎単純接触効果をいかす方法はこちら
【鬼滅の刃でまなぶ心理学】単純接触効果と嘴平伊之助
その⑦:対応バイアス

対応バイアスとは、
人を判断するとき、その人の行動は、性格や能力を反映したものだと考える、というもの。
たとえば
- 仕事でミスをする→仕事ができない人なんだ
- しゃべりがつまる→会話が苦手な人なんだ
- イライラしている→怒りっぽい人なんだ
というように、行動というたった一部だけをみて、その人の性格や特性、能力を判断してしまう傾向があります。
鱗滝さんの判断が早い件
上記の鱗滝さんの発言は、対応バイアスの例でもあります。
「鬼に対しても優しさを見せる」という行動のみから、鬼殺隊に向いていないと判断しています。
しかし、このとき鱗滝さんは、「禰豆子を人間に戻したい」という強い志を知りません。
✔︎くわしい解説と、対応バイアスへの対処法はこちら!
【鬼滅の刃で学ぶ心理学】対応バイアスとは?【3つの具体例】
心理学を学び、人生を豊かにしよう!

以上、「鬼滅の刃」1巻に登場する心理学7選について解説しました。
心理学は、学ぶメリットのある学問だと思います。
- 人間関係を改善
- 自分らしい生き方のヒント
- 仕事にいかす
このように、あなたの生活に役立てることができます。
なので、これからもできるかぎりわかりやすく、心理学について発信していきます。
この記事が、あなたのお役に立てばうれしく思います。
それではまた、別の記事でお会いしましょう!
参考文献
- 「鬼滅の刃」,吾峠呼世晴,集英社
- 「影響力の武器 なぜ、人は動かされるのか」,ロバート・B・チャルディーニ,誠信書房
- 「自分を操る超集中力」,メンタリストDaiGo,かんき出版
- 「だれもわかってくれない 傷つかないための心理学」,ハイディ・グラント・ハルバーソン,ハヤカワノンフィクション文庫,p81~86
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