こんにちは、ばちといいます。
透明性の錯覚って何?
透明性の錯覚の具体例を知りたい!
どうすれば自分のことをちゃんとわかってもらえるかな…
この記事はこういった方へ向けて書いています。
- 透明性の錯覚とは
- 透明性の錯覚の日常における具体例
- 透明性の錯覚への対策【言葉に出そう】
人間関係で誤解が生まれ、うまく行かないのは「バイアス」という脳の思い込みが原因。
今回はそのうちの一つ「透明性の錯覚」がテーマ。
人間関係がうまく行かないことが悩みで、心理学を学んだ僕が分かりやすく解説します。
透明性の錯覚とは
透明性の錯覚とは自分のことは相手にちゃんと伝わっているだろう、という思い込みのこと。
人間は口に出さなくても、自分の感情は伝わっていると思い込みます。
でも実際、あなたが思うほど相手に伝わらないんです。
恋人があなたのことを分かってくれていないのは、これが原因。
「分かって欲しい」とはだれもが思うものですが、正しく理解されるのは難しいんですね。
【研究】74%が相手の考えを読み違う
それでは透明性の錯覚がどんなものか、より具体的にイメージするため、ある実験を見てみましょう。
これは、マニトバ大学のジャッキー・フォラウ、ステファニー・ダニエル・クロウドの研究。(#1)
この研究は、参加者同士ペアになって交渉をしてもらい、交渉中の相手の目的を見抜けるか、という内容です。具体的には、交渉前に下記の5つの目的から一つを選び、交渉してもらいます。
- 何があっても自分の考えを通す
- 最終的な結論に相手が満足する
- お互いの妥協の回数を同じにする
- ベストな解決策を見つけること
- 相手に好かれること
そして交渉が終わったあと、相手の目標は5つのうちどれだと思うか?と尋ねます。
すると、正しく予想できたのはなんと26%。たったの1/4だけだったんですね。
その一方で「自分の意図は相手にどれだけ伝わったと思うか?」とも尋ねています。
ここがこの研究のポイント。
なんと参加者の60%が、自分の考えは丸わかりだったと思う、と答えたんです。
つまり、多くの人が自分の考えは相手に伝わっていると思っていますが、74%の人には誤解されているということ。
これが透明性の錯覚です。
透明性の錯覚が起こる2つの原因
なぜ、このような差が生まれるのでしょうか?
その原因は下記の2つ。
- 感情の表現が下手
- 自分の解釈で判断する
一つ例を出します。
あなたが楽しいとき、イライラしているときの表情をそれぞれ思い浮かべてください。
おそらく、はっきりとした表情の違いがあるはず。
しかし、実際2つの表情はさほど変わらないことが分かっています。
人間は、ちょっと楽しいときも、ちょっと怒っているときも表情がほとんど同じなんです。
びっくりですよね。
また、人間は情報の空白を自分勝手に解釈する傾向があります。
たとえば、あなたが怒っているのに、相手が楽しいという場合。
相手は、表情からあなたの感情を読み取ることはできないので「自分が楽しいからあの子も楽しいだろう」と解釈するわけです。
そりゃあ分かりあえないはずですね。
透明性の錯覚の他にもこういった「バイアス」はあります。
下記の記事ではそのうちの一つ「対応バイアス」について解説しているので、あわせてどうぞ。
透明性の錯覚の日常における具体例
それでは続いて、透明性の錯覚が起こりそうな日常のシーンを見てみましょう。
あなたの体験と重ねて「こんなときに透明性の錯覚が働いているんだ」とお役立てください。
気持ちをわかってほしい
恋人に対して「自分の気持ちをわかってほしい」と思うのは当然ですよね。
これだけ一緒にいるのだから、言わなくても伝わっているはずだ。よく分かります。
その一方で、相手が自分のことを分かってくれておらず、ケンカしてしまったこともあるでしょう。
そう、その原因は透明性の錯覚です。
決して恋人があなたに興味がないわけではありません。あなたの気持ちがわからないんです。
それは、あなたにも同じことが言えます。
なので、お互いに誤解していることもあるかもしれませんね。
好きなのバレたかな
たとえば、あなたに気になる異性がいるとします。
飲み会やご飯の席で、思いっきりデレデレしちゃったとしましょう。
きっとこう思うはずです。
好きなのバレたかな。
その日の帰り道は、そのことが頭から離れないかもしれません。
ですが、相手は気づきません。
友人から本人に告げられることがないかぎりは、あなたの好意が伝わっていることはないと考えていいでしょう。
それほどまでに、自分の気持ちは外から見えないんです。
嘘がバレているんじゃないか
仮にあなたが嘘をついてしまったとしましょう。
ソワソワしますよね。
- 表情に出ていないだろうか
- 悟られないように落ち着かなきゃ
こう思うはずです。
でも相手はその異変に気が付きません。
なぜならあなたの表情はさほど変わらないから。
もちろん、話している内容に矛盾がある、などの原因があれば別です。
その嘘はバレてしまうかもしれません。
ですが、表情からバレてしまうことはないと考えていいはず。
表情のことは忘れて、話の辻褄を合わせることに集中しましょう。笑
発表するときの緊張
学校でのスピーチや、仕事でのプレゼン。
想像するだけで緊張してくるシーンですね。
手を震わせながら、ギリギリしゃべり終えたあなたは、安堵の表情を浮かべ、自分の席に戻ります。
そんなとき、隣の友人にこう言われました。]
堂々としていたよ。
全力で否定したくなるような話ですが、実はこれは僕の学生時代の経験談。
あれだけ緊張していても、伝わらないんだなと、不思議に思ったことを覚えています。
もちろん、友人はお世辞で言ってくれたのかもしれません。
ですが、それがお世辞なのか本心なのかは、本人にしかわかりません。
透明性の錯覚への対策【言葉に出そう】
この透明性の錯覚があることで、人間関係にトラブルが起こります。
小さな誤解が2人の関係を壊すまで発展してしまうことも。
そのため、しっかりと対策しなければいけません。
その方法はズバリ、感情を表現すること。
相手に理解してもらいたいのなら、ちゃんとあなたの口から伝えましょう。
透明性の錯覚を学んだあなたは「何も伝えずに分かって欲しい」の難しさを知ったはず。
- 楽しいなら「楽しい」
- 怒りを感じるなら「怒っている」
- 直して欲しいところがあるなら「ここを直して」
しっかり伝えれば、誤解が生じることは避けられます。
「わかりやすい人」になるための4条件
そうは言っても、毎回言葉にするのも大変ですよね。ときには忘れてしまうこともあるでしょう。
そこで、「相手に正確にわかってもらう4つの条件」を解説します。
これは、パーソナリティの専門家であるデイヴィッド・ファンダーによるもの。それは下記のとおり。
- 相手に情報が与えられる
- その情報が、あなたの特徴や性格を表すこと
- 相手がその情報に気づくこと
- 相手がその情報をもとに判断すること
3、4つ目は、あなたにコントロールできませんね。
なのであなたは1と2を心がけましょう。
とにかく、あなたの性格を表す情報を相手に与えてあげることがポイント。
- 明るい性格なら、楽しそうに笑う
- 静かだけど実は話が好きなら、勇気を出して話しかけてみる
- 相手のことが好きなら、恥ずかしがらずに表現する
あなたの性格を行動で示してあげると、相手も気づいてくれるはずです。
透明性の錯覚について理解し、人間関係を守ろう
というわけで以上です。
対策を取らなければ関係を壊してしまうほど強力な透明性の錯覚。
ぜひ「わかりやすい人」になって、人間関係のトラブルから開放されてくださいね。
それでは。